マイケル・ベアードが主宰するオランダのレーベル、SWPからリリースされる1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群をあなたはご存知だろうか? 録音機材も乏しいその時代に、ワン・ポイント・モノラル・マイク録音にして(だからこそ!)このような素晴らしい世界遺産級の録音を残したヒュー・トレーシーの偉業は、もっともっと認められなければならない! もちろん各部族コミュニティーの違いを聴くのもオモシロいが、このシリーズの最大の特徴は、もっと純粋な音楽的なオモシロさに根づいていると思われる。美しいメロディー、弾けるリズム、聴いたことも無い不思議な音色の楽器群の演奏と(様々な音色の親指ピアノを多数収録しているのも素晴らしい!)、音楽を聴くオドロキと感動に満ちている。いわゆる環境音録音のフィールド・レコーディングとの違いは、そこにある。なので、アフリカ音楽に触れたい方にもオススメ出来るし(先ずは、V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS SWP 034 / The Very Best of Hugh Traceyを聴いてみて下さい!)、ハードコアな音楽リスナーをも満足させ得るカタログがあるから尚のこと広く接してほしいシリーズ! やっとでUPすることが出来ました! 来るべき、かけがえのない時代のために!
(2008.7.31)

V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 08 / Northern and Central Malawi


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 014番。'50年代のマラウィの色彩豊かな音楽をたっぷり収録。チターを弾く驚異の盲人ベティ・カマンガの50年の録音(まるでロックン・ロール!)ではじまり、リュート、親指ピアノ、20世紀初頭にイギリスがアフリカで設立したライフル隊の訓練が元になった瓢箪カズーなど魅力的な音源がいっぱいです。


V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 09 / Origins of Guitar Music


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 015番。西洋のギターが、アフリカ大陸に普及しはじめた1950年代初期に録音された貴重な録音からの編集盤。アフリカにはグリオの伝統などもあり、元来弦楽器の奏法は高度に発達していましたが、その技術を西洋ギターにも応用し、早い段階から独特な完成されたスタイルを持っていたようです。有名なコンゴのムウェンダ・ジャン・ボスコをはじめ、同国の初期ギタリスト、オムビサ・チャールズ、ザンビアのセテファン・カスマリなどなど、伝説のミュージシャンを多く収録。パームワイン・ミュージックやルンバ・コンゴロワーズといった、モダーン・アフリカン・ポピュラー・ミュージックとのつながりを感じさせる、魅力的な音ばかりです。


V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 010 / Forest Music


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 016番。アフリカ大陸のど真ん中コンゴ(旧ザイール)のコンゴ河(旧ザイール河)流域の森とその周辺に住む民の音楽を中心に収録したも。特に、ピグミー以外の部族にスポットを当てています。タイコのアンサンブルや親指ピアノ、コーラスの他、ハープ、リュート関係の録音も多く収録。特にアザンデ族やバレンドゥ族の弾き語りは、ヴォーカルの変幻自在の表情とのアンサンブルが素晴らしい。また、最後に12分にわたり収録されたヒュー・トレイシー自身の解説入りで聞かせるくりぬきタイコ式トーキング・ドラムの演奏も興味が尽きません。


V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 011 / Tswana and Sotho Voices


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 017番。アフリカ&ボツワナ&レソトの音楽を集めたものです。このあたりの現代ポピュラー音楽にも通ずる力強く躍動感溢れるコーラスを中心に、マウス・ボウやリード・パイプ・アンサンブル(太さや長さの違うパイプを吹いてつくるアンサンブル)などが収録されています。特にレテ族のリード・パイプ・アンサンブルの不思議なミニマル感と、フルツェ族の無垢な子供のコーラスの躍動感は必聴!そして、クライマックスは、ソト人によるレシバ・マウス・ボウの独奏です。独特のビビリ成分を含んだマウス・ボウの音と低音の唸り声がシンクロし、ホーミーなどにも通ずる不思議な世界を聴かせてくれます。


V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 12 / The Nguni Sound


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 020番。南アフリカおよびスワジランドのバントゥー系であるコーサ/ズールー/スワジを中心とした人々の音楽を収録。70人ものコーラスの伝統曲や教会コーラス、ポピュラー・コーラス=ムブーベの元のような合唱などの豊かなヴォーカル・ミュージックなどの独特なヴォイシングを中心に、ミュージカル・ボウなどのミニマムな楽器演奏、そして人種隔離政策が推し進められる中、当時の世相を反映した歌や最初期のポピュラー音楽(ギター、ハーモニカ、コンセルティーナを使ったものや、ジャイブ・ジャズ)までも収録。


V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 013 / Southern Mozambique


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 021番。1992年にやっと内戦状態から脱却したモザンビーク。そのザンベジ川より南側で、1950年前後に収録された貴重な録音群です。チョピ/ンダウ/ロンガ/ツォンガ/ギトンガ/ツワ/セナ/ニュングウェの人たちの音楽を収録。ミュージカル・ボウ、少女達のオカリナ合奏、ショナ族系の親指ピアノなど多彩な内容ですが、中でもトレーシーがリーダーを「巨匠」とまで呼んだチョピ人の木琴オーケストラが圧巻。また、石油缶から作られたシンギング・ホーン(拡声ホーンを口にあて、歌うように吹く)を使ったギトンガの合唱も迫力です!


V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 014 / Tanzania Instruments


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 022番。アフリカ大陸中央東側及びインド洋の島々、現在のタンザニア連合共和国一帯で1950年に行われた録音のうち、器楽演奏にスポットを当てて(歌入りのものも)編集されたアルバムです。120以上もの民族が住み、インドやアラブからの影響も見られるこの地域は、音楽も多様で、各種親指ピアノ、各種ドラム、笛の合奏などなど.。特にツィターなどの弦楽器の弾き語りは圧倒的です!職業音楽人による演奏も収められ、彼らの音楽性の高さも驚きです。ザラモ/ニャキュシャ/ゴゴ/ヘヘ/ハヤ/ニャムゥエジ/シラージの人々の音楽を収録。


V.A. - HUGH TRACEY HISTORICAL RECORDINGS HT 015 / Tanzania Vocals,Tanganyika


1950年代におこなわれた、アフリカ・フィールド・レコーディングの初期録音にして音楽的に好内容として名高いヒュー・トレーシーの録音群からのSWP 023番。アフリカ大陸中央東側、現在のタンザニア連合共和国一帯で1950年に行われた録音のうち、声楽にスポットを当てて編集されたアルバムです。ゴゴ/チャガ/マサイ/スクマ/ゴゴ/ニャムウェジの人々の歌、コーラスを収録。男声、女声、混声による多彩なコーラス隊は、時に600人以上もの大所帯で聴く者を圧倒します! また、グリオのような職業音楽人によるヴォイシングは、まさに「言葉の魔術」といえるものです。


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